シンポジウム『青森県の登山道を考える』議事要録
と き 2010年11月7日(日) 13:00〜16:00
ところ 青森市 アピオあおもり 大研修室(1)
主 催 青森県山岳連盟・日本山岳会青森支部・青森県勤労者山岳連盟
開会挨拶 青森県勤労者山岳連盟会長 成田茂則
い山が続出する。このまま放置出来ないという決意で開催した。
又、新幹線青森駅開業に向けて官民あげて観光客の誘致をはかっている中、登山道を整
備し、登山客を呼び込むことは非常に重要、行政と一緒になって登山道を整備し、青森
の山を売り出し、景気浮揚につなげていくシンポジウムにしてほしい。」
行政の施策を聞く(13:10〜14:15)
環境省 東北地方環境事務所 十和田自然保護官事務所 自然保護官 七目木修一氏
説明要旨「環境省の仕事、組織、自然保護官事務所の業務、国立公園等、南八甲田の登山道等に
ついて説明」、特に印象に残っているのは『特別保護区内では一切樹木は伐採出来ない
が、管理者は歩道の木は切れる』との一言。
林野庁 東北森林管理局 国有林野管理課 企画官 伊藤博通氏
説明要旨「林野庁の仕事、組織、東北森林管理局の範囲、国有林の管理等について説明」、特に印
象に残っているのは『歩道としては@国有林野事業の遂行のため、A登山のため、B園
内散策のため等がある。自然休養林の眺望山の歩道は整備している。その他の自然休養
林は自治体で整備している。』との話。
青森県 商工労働部観光局観光企画課 施設整備グループマネージャー 総括主幹 浅利典之氏
梵珠山等を管理している。
A観光企画課は、北八甲田の八甲田登山線、田茂萢岳ゴードライン等、南八甲田では黄瀬
沼付近の木道、矢櫃橋を管理している。
B自然保護課は、白神岳のマテ山コース、二股コース、十二湖〜マテ山、大夫峰、みち
のく松陰道等を管理している。
C補修の基本的考え方は、雪解け後点検し、総合的に判断し補修個所を決め行っている。
白神は巡視員の意見を聞いて決めている。
D具体的には、ゴードラインでは水たまりに直径30pの天然ヤシ材を置いている、大岳
ヒュッテ、仙人岱ヒュッテ、白神山頂トイレのし尿はヘリで年一回汲み取りしている。
E南八甲田は、極力自然を手つかずに残すとの考えで、最小限の刈り払いを行っている。
質疑応答 @管理者不在の登山道について、県の考えは?
答 県は管理している部分のみ責任を負う。
A必要最小限の刈り払いとは?
答 自然保護団体、登山団体の意見を踏まえて行っている。
※成田の見解 2009年度、2010年度の刈り払い基本方針の「植物が体に触れ、登山の
妨げになるという理由では実施しない。」等の考えに登山団体は同意しておりません。南八
甲田登山道連絡協議会が勝手に決めたものです。現に私は9月1日の調査登山の際、『私達
の意見も聞いてほしい』旨発言し、七目木氏から協議会の場に伝えていくとの回答を得てお
ります。
B平成21年1月、環境省・林野庁・青森県で、整備について三者協議を行っているが、内
容は?
答 地域整備計画をさしているのかな、それなら植生の復元を協議したのであって登山道
については決めていない。
C管理者不在の道路の整備はどこが行うのか?
答 @ 県が管理している箇所は県が行う。
A 冷たく言い話せば、責任を持つ人がいない、しかし管理者不在で皆さんが困って
いるのは好ましくない。
D新幹線青森駅開業に向けて、登山道整備は必要ではないか、進めてほしい。
講演 (14:15〜14:40)
『登山道作りの思い出』 針生倖吉氏(青森県登山道保守協力隊隊長)
別紙(4頁)レジメに添った内容でした。
登山道の実態 (14:40〜14:55)
大尽山、南八甲田4、北八甲田2、十和田山、岩木山、茶臼山、木無岳の計11コースの荒廃・ヤブ化
の実態をパソコンで映しました。
パネルディスカッション(15:05〜15:55)
下山 壽 (青森県山岳連盟会長・日本山岳会青森支部支部長)
意見要旨 「北は北海道の利尻岳から南は屋久島の宮之浦岳まで歩いたが、青森県ほど登山道が整
備されていない所はない。他では標識もきちんと立っているが青森は少ない、高田大
岳に至っては一枚も無い。去年下がれずヘリに共助要請があった、十和田警察署と一
緒にチェックしたら迷いやすい所が三箇所もあったので、赤テープを付けた。
人間の命は大切だ、安全に登山するには登山道の整備が大事だ。」
成田 徹氏(山岳同人 たがじょ代表)
意見要旨 「南八甲田縦走線、御鼻部山から猿倉温泉迄のコースを年二回程ヤブをこいで歩いてい
るが、素晴らしい眺望を多くの人に見てもらいたい。ヤブを解決してほしい。
蔦温泉〜赤倉岳〜乗鞍岳〜黄瀬沼、櫛ケ峰〜下岳も整備し、県民に楽しませたい。」
針生倖吉氏(青森県登山道保守協力隊隊長)
意見要旨 「県内の遭難事故の多くはルート不明が原因で起こっている、ササやぶは3年もすれば
元に戻る、竹は切って歩かせて良い、メンテナンスの手を入れるべきだ。
南八甲田、前は女性が多く入ったが、今は洗掘・ヤブを嫌い入らない。長野県の山は急だが青森の山は緩やかで登りやすいと来たもんだが。金がないなら、木道に青銀、みち銀の焼判を押しても良い、知恵あの人は知恵、金ある人は金、体がある人は体を出して、整備すべきだ。
出された意見 @青森県を始め、行政が帰ったのには怒りを覚える。行政の話を聞けば逃げている。
登山道を整備しなければ、責任を取らなくても良いからか?
A野生動物の調査・研究をしている。自然と人間の共生を考えていくことが大切。
昔、平舘村のサイ沼へ行く歩道を歩いた、懐かしくなって行ったら今は東北自然歩道
になっていたが、整備の仕方が悪く長く持たないと思われる。
又山菜採りのゴミ捨ては問題だ、食べ物の味を覚える悪い熊をつくる。
Bたびたび中央の方から、「青森の山すごいですね」と言われる、褒められたと思い聞
き返すと、「ひどい山ですね」とのこと。原生的自然を保つと言うが、青森県の山と
秋田県の山のどこが違うのか。我々がボランティアでやった時、奥入瀬事故のような
心配もあるが、マンパワーが必要ならやるよ。
Cこの場に出たい人はこの100倍いる。登山道が荒廃しているからか、小学生の登山
が少ない、登山道を整備し小学生から山に親しめるようにすべきだ。
D私は40歳だが、登山道を整備して私より若い人に登ってもらいたい。
E役所が早く、整備の結論を出してほしい。
F陳情したらそれで終わりでなく、アフターケアーすることが大切だ、頑張って行こう。
閉会挨拶 日本山岳会青森支部支部長 下山 壽
挨拶要旨「山登りしたい天候の中、貴重な時間をありがとうございました。講演の針生さん、パネ
ラーの成田徹さんには心からお礼申し上げます。今日は良い勉強になりました。
集まった方々は、なにも登山道の幅を広くしてほしいと言っているのではないと思いま
す。今日のシンポジウムに来て良かったと感じていただければ幸いです。
山登りは本来楽しいものです、どうしたら楽しい登山が出来るのか? 皆さんのお力を
お借りして、登山道整備に向けたい。」
成田の感想 「当初目標とした50名の倍以上予想をはるかに超える113名の参加者数。
仲間に一般の方をブラス50名程度、どんなに来ても70名と踏んで資料を70部しか用意
してませんでしたが、登山道の荒廃・ヤブ化に危機を感じて、整備を望む多くの人が集まっ
た、主催者として意を強くしました。 意見はほとんど一般の方からでした。
県民向けニュースの見出しは、『登山道整備を望む県民大結集』或いは『登山道整備は登山
客誘致の喫緊の課題』とでもなるでしょうか?
また青森県の山は青森県の人間が責任を持つ。このことを再確認しました。
環境省、林野庁よりもまずは青森県のスタンスが大切と感じました。
まず青森県と登山団体が協議し、それを環境省、林野庁に要請していくスタイルを確立した
い。今後三団体で相談しますが、県にはしかるべき要請をしたいと考えています。 以上
別 紙